英語で論文を書く際、研究内容と同じくらい頭を悩ませるのが「スタイルガイド」のルールではないでしょうか。「APAとMLA、どちらを使うべき?」「カンマの位置はここであっている?」といった細かな疑問は尽きません。これらを「単なる形式上の些細な問題」と捉えるのは危険です。なぜなら、不正確なフォーマットは査読での減点対象になるだけでなく、最悪の場合は剽窃とみなされるリスクすらあるからです。
本記事では、日本人の研究者や学生が特に陥りやすい「APAとMLAの混同」や「カンマとピリオドの順序」といった落とし穴を、一目で確認できる「早見表」と共に徹底解説します。執筆のたびにルールを検索する時間をゼロにし、あなたの研究成果を「形式の不備」で無駄にしないための、研究者としての確固たる礎をお届けします。
目次

研究の信頼性を担保する「共通言語」としての役割
学術的なスタイルガイドとは、単なる「文書の見た目を整えるためのマニュアル」ではありません。それは、特定の学問分野において、研究者同士が誤解なく知識を交換するための「共通言語」としての役割を果たしています。英語の学術文書におけるスタイルガイドは国際的に共通しており、ライティングの文体、構文、文法、そして文書書式に関する広範囲な規則を提供する、一種の「ガイドライン」として機能します。
なぜこれほど厳密なルールが必要なのでしょうか。その理由は、論文という形式を通じて、複雑な世界の現状や事物を明確に説明し、人間の知識の発展に貢献するという学術本来の目的を達成するためです。
もし研究者ごとに用語の定義や引用の形式がバラバラであれば、読者は内容を理解する前に形式の解読に時間を費やすことになります。スタイルガイドは、こうしたノイズを排除し、研究内容そのものに焦点を当てるためのインフラストラクチャーなのです。
主要なスタイルガイドは、その詳細な規定により300ページから1000ページにも及ぶ膨大な分量となることがあります。これは、あらゆるケースに対応するための辞書のような存在であり、研究者がすべてを暗記することは不可能です。しかし、自身の分野で標準とされるガイドラインの基本構造を理解しておくことは、研究者としての最低限のリテラシーといえるでしょう。
スタイルガイドが規定する主な要素:
スタイルガイドに従う最大の倫理的理由は、「剽窃(Plagiarism)」の回避にあります。論文執筆において最も重要な規範の一つは、「他人の考えを、自分自身の思い付きであるかのように偽って使ってはならない」ということです。意図的であれ不注意であれ、出典を明示せずに他者のアイデアや文章を使用することは、学術的な信頼を根底から覆す重大な不正行為となります。
スタイルガイドは、この「知的誠実さ(Academic Integrity)」を証明するための厳格なプロトコルを提供します。論文の中で他人の文章を引用または参照した場合、必ずその出典を明示しなければなりません。統一された形式で出典が記載されていれば、読者はその情報がどこから来たのかを容易に追跡(トレース)し、検証できます。これは、先行研究への敬意を示す行為であると同時に、あなた自身のオリジナルな貢献がどこにあるのかを明確にするための手段でもあります。
また、形式の統一は「可読性」の向上にも直結します。例えば、見出しの階層構造や図表のキャプション位置が統一されていれば、読者は情報の構造を瞬時に把握できます。スタイルガイドは、研究者が積み重ねた成果を、ノイズなく正確に読者へ届けるための「品質保証」の役割を担っているのです。
スタイルガイドの2大機能:
| 機能 | 目的と効果 |
| 倫理的機能 (剽窃防止) | 他人の著作物と自分のアイデアを明確に区別する。出典を定型化することで、意図せぬ「盗用」の疑いを防ぎ、研究者としての身を守る。 |
| 実用的機能 (可読性向上) | 読者が情報の構造(どこが結論で、どこが証拠か)を瞬時に理解できるようにする。査読者や読者の認知負荷を下げ、内容の評価に集中させる。 |
世界には数多くのスタイルガイドが存在しますが、学術分野によって「デファクトスタンダード(事実上の標準)」が決まっています。自分の投稿先や所属する学部がどのスタイルを採用しているかを知ることが、論文執筆の第一歩です。
特にAPAスタイル(American Psychological Association)は、心理学だけでなく、看護学やビジネス、社会科学全般で広く採用されており、日本人の研究者が最も頻繁に接するスタイルの一つです。
一方、文学や哲学などの人文学系では、テキストの解釈を重んじるMLAスタイル(Modern Language Association)が主流です。
また、医学系ではAMAスタイル、化学系ではACSスタイルなど、専門に特化したガイドラインも存在します。研究コミュニティやジャーナルごとに独自の規定が設けられている場合もあるため、投稿前には必ずターゲットジャーナルの「投稿規定(Author Guidelines)」を確認することが不可欠です。
主要4スタイルの比較一覧表:
| スタイル名 | 運営団体 | 主な適用分野 | 形式の特徴 |
| APA Style | アメリカ心理学会 | 心理学、教育学、社会科学、ビジネス | (著者名, 年) 情報の「鮮度」を重視する。 |
| MLA Style | 現代言語協会 | 文学、語学、哲学、芸術、人文学 | (著者名 ページ) 情報の「場所」を重視する。 |
| Chicago Style | シカゴ大学出版局 | 歴史学、出版一般、一部の人文学 | 脚注 / 著者・日付 分野により2方式を使い分ける。 |
| AMA Style | アメリカ医師会 | 医学、生物医学、ヘルスケア | 番号順 引用順に番号を振り、簡潔に示す。 |

社会科学・理系で標準的なAPA(American Psychological Association)
APAスタイルは、1929年に心理学者や人類学者、経営者らのグループによって確立されました。その目的は、学術論文の構成要素を体系化し、読みやすくするためのシンプルなガイドラインを提供することにありました。現在では心理学にとどまらず、教育学、社会科学、さらには自然科学の一部まで幅広い分野で採用されています。
APAスタイルの最大の特徴は、情報の「新しさ」を重視する点です。科学的な知見は日々更新されるため、いつ発表された研究か(出版年)が重要な意味を持ちます。そのため、引用システムには「著者名」と「出版年」を組み合わせた形式が採用されています。また、論文の構造も厳格に規定されており、実験報告書などの場合、本文はIMRaD形式(Introduction, Method, Results, Discussion)の4つのセクションに明確に区分されなければなりません。
さらに、APAスタイルは「バイアスのない言語(Bias-Free Language)」の使用を強く推奨しています。ジェンダー、人種、民族、性的指向などに関する記述において、偏見を含まない公平な用語を選択することは、現代の研究倫理において必須の要件となっています。このように、APAスタイルは単なる書式規定ではなく、科学的な客観性と公平性を担保するための思想が反映されたシステムなのです。
APAスタイルの重要ポイント:
MLAスタイルは、1883年に設立されたアメリカ現代言語協会(Modern Language Association)が推奨するガイドラインであり、1世紀以上にわたって英語学、文学、外国語、文化学、芸術などの人文学分野で標準として使用されてきました。
MLAスタイルが重視するのは、テキストの「出典追跡可能性」です。文学研究や批評においては、「誰が言ったか」に加え、「作品のどの部分(ページ)に書かれているか」が議論の核心となります。そのため、引用システムには出版年ではなく「ページ番号」を必須とする形式が採用されています。読者が即座に原典の該当箇所にたどり着けるよう設計されているのが特徴です。
フォーマット面での特徴として、MLAスタイルでは特別な要望がない限り、独立した「タイトルページ」を作成しません。その代わり、最初のページの左上に「著者名」「教授名」「科目名」「日付」を記載し、同じページから本文を開始します。また、本文中の強調表現において、タイトルに下線を引いたり太字にしたりすることは避け、引用符やイタリック体を使用するといった、タイポグラフィに関する細やかな美的配慮もMLAスタイルの特徴と言えるでしょう。
MLAスタイルの重要ポイント:
APAスタイルとMLAスタイルの最もわかりやすい違いは、本文中で文献を引用する際の「カッコ書き」の中身に現れます。この違いは、それぞれの学問分野が何を「証拠」として重んじているかという認識論的な差異を反映しています。
社会科学や自然科学(APA)では「最新のデータ」が証拠となります。「2023年の研究」であることに価値があり、1950年のデータでは古すぎる可能性があるため、出版年を強調します。
一方、人文学(MLA)では「テキストそのもの」が証拠となります。シェイクスピアの作品がいつ出版されたかよりも、引用したセリフが「ハムレットの123ページ」にあるという事実のほうが、読者にとって検証のために有用な情報だからです。
自分が執筆しようとしている論文が、どちらのタイプの証拠に基づいているかを理解すれば、スタイルの選択やルールの暗記もスムーズになるはずです。
証拠の扱いによるスタイルの違い:
| 比較項目 | APAスタイル(社会科学・理系) | MLAスタイル(人文学) |
| 証拠の性質 | 実験データ、統計、最新の知見 | テキスト記述、作品の解釈 |
| 情報の価値 | 「いつ」発見されたか(鮮度) | 「どこに」書かれているか(場所) |
| 引用の形式 | (著者名, 出版年) 例: (Smith, 2023) | (著者名 ページ番号) 例: (Smith 123) |
| 句読点 | 著者と年の間にカンマを入れる | 著者とページの間にカンマを入れない |

APAスタイルの引用形式「(著者名, 出版年)」の具体例
APAスタイルにおける本文中の引用(In-text citation)は、読者を論文末尾の参考文献リストへと導くための標識です。基本形は、引用箇所の直後にカッコ書きで「著者名」と「出版年」をカンマで区切って記載します。
注意すべき点は、文末に引用を入れる際、ピリオドの位置は閉じるカッコの後になることです(ブロック引用など例外を除く)。…end of the sentence (Jones, 2003). という語順を守りましょう。また、複数の著者がいる場合は、&(アンパサンド)を使って (Jones & Smith, 2003) と表記しますが、文中で名前を出す場合は Jones and Smith (2003) と「and」を使用するという使い分けも重要です。
APA引用のパターン別リスト:
MLAスタイルの引用は、シンプルかつテキスト指向です。基本形は「著者名」と「ページ番号」をカッコ内に記載しますが、APAと異なり両者の間にカンマは入れません。
MLAでも、引用符(” “)を使用した直接引用の扱いは重要です。短い引用の場合、引用符の直後にカッコ書きで出典を示し、その後にピリオドを打ちます。例:”The quote ends here” (Smith 123). 。重要なのは、読者がこの情報(Smith)を頼りに、論文末尾の「Works Cited(引用文献)」リストから、該当する完全な書誌情報をスムーズに見つけ出せるようにすることです。そのため、カッコ内の著者名は、リストの先頭にある単語(通常は著者の姓)と完全に一致していなければなりません。
MLA引用のパターン別リスト:
学術論文では、複数の著者による共著が頻繁に行われます。著者の数が増えた場合、毎回すべての名前を列挙するのは非効率であるため、「et al.(~ら、その他)」というラテン語の略語を使用します。
この「et al.」の使い方には、版(Edition)やスタイルによる細かな違いがあり、ミスが多発するポイントです。例えばAPAスタイルでは、以前は「初出時は全員、2回目以降は省略」というルールでしたが、最新の第7版からは「3名以上であれば初回から省略」と簡略化されています(※スタイルや投稿規定により異なるため要確認)。
また、ACSスタイル(化学分野)のように、2名以上の著者がいる場合は常に「et al.」を使用するといった、分野特有のルールも存在します。共通して言えるのは、「et al.」の「al」の後ろには必ずピリオドが必要(略語であるため)ですが、「et」の後ろにはピリオドは不要という点です。
著者数による表記ルールの違い(APA第7版の例):
| 著者数 | 本文中の引用表記 | 備考 |
| 1名 | (Smith, 2020) | 常に著者の姓を表示。 |
| 2名 | (Smith & Jones, 2020) | 常に両方の姓を表示。 |
| 3名以上 | (Smith et al., 2020) | 初回から筆頭著者以外を「et al.」で省略可能。 |
「et al.」の書き方チェック:

リストの並べ方(アルファベット順)とハンギングインデント
論文の末尾に掲載する参考文献リストは、本文中で引用したすべての文献を網羅していなければなりません。このリストの作成において、多くのスタイルで共通する「3つの鉄則」があります。これらを守ることで、リストの可読性は劇的に向上します。
1つ目は「著者の姓(Last Name)のアルファベット順」に配列することです。日本の論文のように「出現順」ではありません(AMAなどを除く)。
2つ目は「ハンギングインデント(突き出しインデント)」です。これは、各文献の1行目を左端から書き始め、2行目以降を字下げする形式です。これにより、読者はリストの左端をスキャンするだけで、目的の著者名を素早く見つけることができます。
Wordなどのワープロソフトでは、段落設定で「ぶら下げ(Hanging)」を選択することで簡単に設定できます。スペースキーを連打して無理やり形を整えるのは絶対に避けましょう。フォントやサイズが変わった瞬間にレイアウトが崩れ、編集者から差し戻しを受ける原因となります。
そして3つ目は「ダブルスペース(Double Spacing)」の適用です。英語論文の参考文献リストでは、行間を2行分空ける(ダブルスペース)のが標準的です。文献と文献の間にも余分な空行は入れず、リスト全体を均等な行間で統一することで、査読者が書き込みやすく、また視認性の高いリストとなります。
リスト作成の3大ルール:
参考文献リストでは、情報の種類(媒体)によって、イタリック体(斜体)にする箇所や大文字の使い方が異なります。ここではAPAスタイルを例に、代表的なパターンの違いを解説します。
重要な概念として「コンテナ(Container)」という考え方があります。論文や章(記事)は、雑誌や書籍という「コンテナ(入れ物)」の中に格納されています。一般的に、コンテナのタイトル(雑誌名や書籍名)はイタリック体にし、記事そのもののタイトルは立体(イタリックにしない)で表記します。この視覚的な区別により、読者はそれが単独の出版物なのか、大きな作品の一部なのかを直感的に理解できるのです。
また、タイトルの大文字化(Capitalization)にもルールがあります。APAの参考文献リストでは、記事タイトルや書籍タイトルは「Sentence case(文の先頭のみ大文字)」で書き、雑誌名は「Title Case(主要な単語をすべて大文字)」で書くのが一般的です。
媒体別フォーマット早見表(APAスタイル):
| 媒体 | 記載順序の基本 | イタリックにする箇所 | 大文字のルール |
| 学術雑誌 (Journal) | 著者. (年). 論文名. 誌名, 巻(号), ページ. | 雑誌名と巻数(Vol) | 論文名は先頭のみ大文字。 雑誌名は各語大文字。 |
| 書籍 (Book) | 著者. (年). 書名. 出版社. | 書籍タイトル全体 | タイトルは先頭のみ大文字。 |
| 書籍の章 (Chapter) | 著者. (年). 章題. In 書名 (pp. xx-xx). | 書籍タイトル | 章題は立体。 書籍タイトルはイタリック。 |
デジタル化が進んだ現代の学術環境において、参考文献リストに欠かせない要素となっているのがDOI(Digital Object Identifier)です。DOIとは、インターネット上のデジタルコンテンツに恒久的に割り当てられる識別コードのことで、「デジタル文献のマイナンバー」とも言える存在です。
APAスタイルなどの主要なガイドラインでは、文献にDOIが付与されている場合、URLよりもDOIを優先して記載することが強く推奨(あるいは義務化)されています。WebサイトのURLはサイトの閉鎖や移転によってリンク切れ(Link Rot)を起こすリスクが高い一方、DOIはリンク先が変更されても追跡可能であるため、学術記録の永続性を保つのに適しているからです。
記載形式としては、従来は doi:10.xxxx/yyyy のような形式が使われていましたが、最近のガイドラインでは https://doi.org/10.xxxx/yyyy のように、直接アクセス可能なURL形式での記述が標準化されつつあります。DOIが見当たらない場合のみ、ジャーナルのホームページのURLなどを記載します。正確なDOIを記載することは、読者の利便性を高めるだけでなく、引用された論文の被引用数を正しくカウントさせるためにも、研究者コミュニティへの貢献となります。
DOI/URL記載の決定木(Decision Tree):

ここまで解説した細かなルールを、手作業ですべて管理するのは非効率であり、ミスの温床となります。現代の研究者にとって、文献管理ソフト(Reference Manager)の導入は必須と言えます。EndNote、Mendeley、Zoteroなどのツールを使えば、保存した論文データから、APAやMLAといった指定の形式で参考文献リストを自動生成できます。
しかし、ツールは万能ではありません。自動生成されたリストには、しばしば情報の欠落や誤りが含まれます。よくあるミスとして、著者名の欠如、タイトルが大文字ですべて記載されている(All Caps)、雑誌名の省略形が間違っている、といったケースがあります。特に、取り込んだ書誌データ(メタデータ)の質が低い場合、出力結果も当然低品質になります(Garbage In, Garbage Out)。
したがって、ソフトが出力した結果に対して、必ず人間の目による最終チェックを行う必要があります。各項目に最低限の情報(著者名、タイトル、雑誌名、発表年)が含まれているか、イタリック体の範囲は正しいかを確認しましょう。ツールはあくまで「支援」であり、最終的な品質責任は執筆者にあることを忘れてはいけません。
主な文献管理ツールの特徴:
日本人の研究者が直面する特殊な課題として、日本語で執筆する論文の中で、欧文文献を引用する際の「和欧混在」の問題があります。国内の学会や大学の紀要では、APAやMLAをベースにしつつも、日本語の原稿用紙文化に合わせた独自のローカルルール(日本語スタイルガイド)を設けている場合が少なくありません。
例えば、句読点の扱いです。英語ではカンマ(,)の後に必ず半角スペースを入れますが、日本語の論文作成においては、「、。」(テン・マル)を使うのか、「,.」(カンマ・ピリオド)を使うのか、学会によって指定が異なります。また、全角文字と半角文字の使い分けも厳格です。日本語の本文中は全角カッコ()を使い、欧文の引用部分は半角カッコ()を使うといった指定や、数字は原則として半角の算用数字を用いるといった規定があります。
英語のルールをそのまま適用するのではなく、「投稿先の規定(執筆要領)」を最優先することが、日本での論文受理の鍵となります。特に「スペース」の扱いは要注意です。全角文字の間に半角スペースを入れるべきか否かは、スタイルガイドによって大きく異なります。
日本語論文における特有のチェックポイント:
| 項目 | 英語の標準ルール | 日本語論文のローカルルール(例) |
| 句読点 | カンマ(,) ピリオド(.) | 学会により「、。」または「,.」を指定。 |
| スペース | 句読点の後に半角スペース | 全角文字の間にはスペースを入れない場合が多い。 |
| カッコ | 半角 ( ) | 本文は全角()、引用部は半角 ( ) と使い分ける。 |
| 数字 | 半角算用数字 (1, 2) | 横書きは算用数字、熟語は漢数字(第三者など)。 |
スタイルガイドは、時代の変化に合わせて頻繁に改訂されます。例えば、APAスタイルは第6版から第7版への改訂で、著者の所属の書き方や「et al.」の使用ルール、電子媒体の引用方法などが変更されました。MLAスタイルも同様に、デジタルソースの扱いやコンテナ(Container)という概念の導入など、大きな変更を経てきています。
古いガイドラインの知識のまま執筆すると、不必要な修正を求められたり、「最新の研究動向をフォローしていない」というネガティブな印象を与えたりする可能性があります。インターネット上の解説記事は情報が古いまま残っていることも多いため、注意が必要です。
確実な方法は、各スタイルの公式Webサイト(APA Style website, MLA Style Centerなど)や、定評のある大学のライティングセンター(例:Purdue UniversityのOWL – Online Writing Lab)を参照することです。これらのサイトでは最新の変更点がわかりやすくまとめられています。また、ターゲットとするジャーナルの最新号に掲載された論文を見て、実際にどのようなスタイルが使われているかを確認するのも、実用的な「裏技」の一つです。
信頼できる情報源リスト:
スタイルガイドの世界は奥深く、APA、MLA、Chicagoといった国際標準から、日本国内の大学や学会が定めるローカルな規定に至るまで、研究者は多様なフォーマットに適応しなければなりません。しかし、これらの複雑なルールの根底にある目的は一つです。それは、「知の共有を円滑にし、先人の業績を尊重しつつ、新たな発見を正確に伝えること」です。
スタイルガイドに従うことは、研究内容の質そのものを保証するものではありませんが、あなたの研究が「正しく評価されるための土台」を作ることと同義です。フォーマットの不備で査読者に悪い印象を与えたり、引用の不正確さで剽窃の疑いをかけられたりすることは、研究者にとって最大の損失です。形式を制する者は、論文を制す。この格言を胸に、細部までこだわり抜いた高品質な論文執筆を目指してください。

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東大応用物理学科卒業後、ソニー情報処理研究所にて、CD、AI、スペクトラム拡散などの研究開発に従事。
MIT電子工学・コンピュータサイエンスPh.D取得。光通信分野。
ノーテルネットワークス VP、VLSI Technology 日本法人社長、シーメンスKK VPなどを歴任。最近はハイテク・スタートアップの経営支援のかたわら、web3xAI分野を自ら研究。
元金沢大学客員教授。著書2冊。