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ジャーナル論文とは?書き方や作成ポイントをご紹介

2025/1/21
研究・論文

ジャーナル論文ということばを聞くことがありますが、どのような論文なのでしょうか。

文字通り学術雑誌(ジャーナル)に掲載される論文ということになりますが、はじめて執筆する場合は、いろいろな不安がつのるものです。

本記事では、ジャーナル論文について、その特徴から書き方や作成ポイントまで詳しく解説します。

ジャーナル論文の特徴

ジャーナル論文とは、学術雑誌査読を通過して掲載された論文のことをさします。

ジャーナルに掲載を希望するためには、自身の研究成果をしかるべき学術雑誌に投稿しなければなりません。論文の投稿先としては、国際的に有名な学術誌を出版している出版社や、自身が所属している専門学会などがあります。

いずれも投稿にあたっては、論文投稿規定を設けているので、その規定に則って論文を準備しなければなりません。論文の構成や記載するフォントにいたるまで、細かい規定があるところもあります。

ジャーナル論文においては、なにより自身の研究成果がまずそれなりのものでなくてはなりません。それなりというのは、当該研究において、オリジナリティー、すなわち新規性や有用性などの観点からみてもジャーナルに公開できるレベルのものとなっていることが大切です。さらにいうなら、自分の研究が論文発表の価値があるかどうかを自身でも考えてみることが大切です。

査読制度が確立している有名学術誌では、オリジナリティーに、特にスポットをあてています。というのは、掲載される論文は世界中で検索され、価値の高いものは多数のアクセスをうけることになります。このような多数のアクセスとは、当該の学術誌としての地位の維持や向上にもつながるからです。

なお最近の学術誌では、国内であっても英文論文が主流となっており、英語で執筆することが通例です。英語の場合は、よく使用される英文言い回しなどがあり、それらを取り入れて作成しなければなりません。自身の研究過程では、当該分野の英語によるジャーナル論文をあらかじめ多数読んでおく必要があります。そのような論文の中で、気に入った文章例などがあれば、書き留めておくようにします。書き方の項目でも述べますが、先行論文との比較をする場面などもあり、英文論文については特に注意することが大切です。

ジャーナル論文の書き方

ジャーナル論文の書き方について、メインの言語である英語論文に関して、書き方を解説します。

ジャーナル論文では、タイトル、序論、本論、結論、参考文献・謝辞に加えて、要約の各項目を記載することが必要です。 

タイトル

論文作成において、まず大切なことは適切なタイトルをつけることです。

タイトルといっても、論文に含まれる内容、特に本論で述べる部分を十分にあらわしたものでなくてはなりません。

研究論文であれば、当然、当該分野の専門キーワードを含む必要があります。また新たに自身で考案したテーマがあれば、それを強調する用語も使用します。場合によっては、自身で考案したキーワード等を記載するのもありですが、その場合は序論などで十分に説明しておく必要があります。

英語の場合、「新しい(New)」という用語は、あまり使用しないようにします。論文はたいていの場合、あらたな研究や発見、事実などを含んでおり、新規性という要因は論文作成には必須であるからです。

序論

序論、本論部分については、自然科学系と人文科学系の研究論文ではやや書き方が異なります。

まず序論ですが、自然科学系については、当該研究の背景や従来の研究の紹介を記載します。研究背景に必要なキーワードについても、できるだけ指定したり記載しておくようにします。 

さらには、実験方法についても述べておく必要があります。なお当該論文が、実験をともなわず、直接、実験結果を記載するようなショートレポートなど、記載しない場合もありえます。 

人文科学系の序論については、本論の前の主題に関する解説などを記載します。

当該論文の前提となるキーワード等についても、定義したり解説する必要があります。さらには、本論の背景となる命題部分を詳しく解説しておくことが大切です。

本論

本論は、研究結果と考察からなり、自然科学系と人文科学系の論文では記載方法がやや異なります。

自然科学系では、研究の結果とその考察を含む、論文のカギとなる部分です。

実験等を実施後に、実験ノートなどを参照しながら、過不足なく箇条書きで記載します。実際の実験データや、データを記載したグラフや表なども適切に掲載することが必要です。

考察部分は、実験結果を記載したのちに分けて書きます。結果と考察ははっきりとわかるように記載します。実験結果からは類推が難しい内容を含む考察部分の記載は、さけるようにします。また序論の部分で紹介した他の参考論文との整合性や、自身の研究目的がどのように達成できたのか、具体的に説明します。 

なお論文作成にも使用する実験ノートについては、特有な書き方があり、本コラムの中でも関連記事を紹介しています。

参考「実験ノートとは?研究に役立つ、ノートの使用法やコツについて解説

人文科学系でも、主題を記載するのに必要なデータや図表がある場合もあります。この場合は、適切にその出展なども含めて記載しておくことが大切です。経済学の論文など、どのデータを使用するのか、それにより結論が違う場合もありうるからです。

たとえば市場金利や賃金、失業率など、適切にデータを使用します。なお失業率などでも、国によっては実情を反映していない場合もあり、経済学分野などでは特に注意が必要です。

主題の中で、当該データに関する自身の解釈とその解釈に対する今後の方向性なども併せて記載すればよいでしょう。 

結論

結論の記載方法については、研究論文の適用分野において慣例が異なっています。

自然科学分野では、英語ではSummaryといわれる部分と重なります。序論、本論で記載した事実、発見、考察を箇条書きで、論理性を保った状態で記載します。自然科学分野では、多数の論文を遅滞なく網羅検索する必要もあり、この結論部分が特に注目されています。当然、結論部分の記載には、自身の研究に関連するキーワードなども含みます。検索はキーワード中心に実施されるからです。

人文科学分野では、最後に結論が記載されることが多いようです。

この場合でも、必要なキーワードを含み、序論、本論で記載した事実、発見、考察を箇条書きで、論理性を保った状態で、箇条書きで結論を作成します。本論で記載した考察部分を深堀しておくことも必要でしょう。単一の論文ではなく、自身の研究成果をさらに論文で記載する場合などは、今後の展開にもつながるあらたな命題なども文章化しておくとよいでしょう。 

参考文献・謝辞

参考文献の選択と記載も重要なポイントとなります。特に、実験結果の項目で使用した文献(実験方法など)は必ず、参考文献の項目にも記載します。

なお参考論文に記載した方法にそのまま従う場合は、引用論文を記載するだけでよいですが、たいていの場合は、実験にあたってなんらかの工夫や修正をしていることがあります。それらについても、過不足なく記載する必要があるので、実験結果の項目でもふれておくことが大切です。

参考文献の記載にあたっては、関連した論文を抽出し、実際に読んでおく必要があります。また、自身の研究分野の関連論文を効率的に探すようにしましょう。当該研究に関する「キーワード」をGoogle Scholarなどの論文専用サイトを使用してあらかじめ検索します。

謝辞については、当該研究の実施において、たとえば実験機器の操作などでお世話になった人も必要最小限ですが記載しておきます。

要約

論文作成の最後に、Abstractとよばれる要約部分を作成します。

なお学術雑誌、特に自然科学系論文の掲載では、要約部分がタイトルの直下にある場合が多くあります。要約は文献検索などで特によく使用される部分でもあり、キーワードを含み、過不足なくまとめることが大切です。

読者は要約をまず読んで、それ以外の部分を読む必要があるか判断するための、特に重要な箇所となります。

ジャーナル論文の作成ポイント

ここでは特に英文の場合の、ジャーナル論文作成時のポイントや注意点について紹介します。

事前準備の注意点

日本語より英語で作成する方が、事前準備としては論理的に実施できるかもしれません。

できればまず研究論文のアウトライン(構成)を準備してから、実際の本文を作成することをおすすめします。

参考「研究論文のアウトラインとは?研究に役立つアウトラインの構成から書き方まで解説

箇条書きで、タイトルや序論、本論などに記載する内容をメモしていきます。いきなり本文を書き始めると、起承転結ではないですが、全体的にアンバランスな文章となることもありえます。

英語によるジャーナル論文の場合は、箇条書きにおいても、できれば英語で直接記載してみましょう。英語は日本語より論理構成がはっきりしているので、より論文の構成把握が容易になる効果も見込めます。

日常での英語、特に米語表現で使用するような基本的な動詞などはなるべく使わないようにします(論文に適した表現あり)。このため米語表現で当初は記載しておき、これを論文によく使われる動詞や表現に置き換える方法を取れば、比較的容易に論文作成できます(次項も参照してください)。

また論文アウトライン作成後の段階で、指導教官や他のメンバーの意見を聞くということも考えられます。可能ならば論文でも他者の意見も聞いて作成した方が、質の高いレポートとなりえます。 

英文論文での表現

日本語より英語の方が、論理性のある論文作成には適しており、文法上も有利です。日本語では冗長な表現となる場合もあるので、研究成果を直接表現するときに役立ちます。

このように利点の多い英語表現ですが、研究論文の作成時には注意します。

特に米国英語で多い、基本動詞get, take, makeなどは、論文の場合はほとんど使用しません。よく使われる動詞は、当該分野の論文やレポートにすでに使用されていることが多く、そのような動詞を使います。なお場合によっては、対象となる領域で頻出している動詞などが、領域が違うと異なることもよくあります。

英語レポートや論文でよく使用される表現もあります。

The main objective of this paper is that・・・

当該のレポートや論文の研究目的を紹介する場合、よく使用されます。

It has been often discussed that・・・

英語表現であっても、第三者の視点での表示が一般的であり、レポートの序論などで研究背景などを説明する場合に、有益です。

It is important that・・・

〇〇は重要であると記載する場合に、便利な文章です。こちらは、自身(一人称)が断定しているのではなく、普遍的な表現(三人称)としていることがポイントです。 

There is a possibility that・・・

The result suggests that・・・

本論などの考察部分で便利な表現です。英語のレポート表現でも、一人称ではなく三人称表現とすることが多くなっています。

論文査読への対応

論文のオリジナリティーを重視する学術雑誌では、論文の投稿水準の維持にも力をいれています。このため有名な学術誌ほど、投稿後の論文が受理される割合は低くなっています。

このためジャーナル論文においては、論文投稿時の査読対応も重要です。論文投稿後には、学術雑誌の査読者によって、論文の評価が行われます。

査読時における、評価ポイントととして、論文完成度は当然ですが、新規性、有用性、信頼度などの観点から多角的に評価されます。なによりオリジナリティーが一番重要な要素となるのです。

査読者の氏名は公開されず、論文執筆者にもわかりません。複数の査読者の評価結果をもとに、編集委員会で審査が行われ、受理、修正必要、却下などの判断がくだされます。

投稿後には、一部修正などの連絡がある場合が多いので、この場合には、査読者の指摘事項に基づき、論文本文の修正や、場合によっては追加データなどの提出も行います。

この対応をおろそかにすると、最終段階の論文受理にはつながりません。特に海外の学術誌への投稿論文では、英文でのやりとりになりますので、その内容にも注意が必要です。

まとめ

ジャーナル論文を投稿する場合は、すべてではないですが、特にオリジナリティーのある研究成果が必要です。

このため自身の研究にあっても日頃から、新規性や有用性の高い成果を探求していくことも大切です。

オリジナリティーばかり追及するのは考えものですが、海外大学の研究室などでは、常にいかにしてオリジナリティーを出すか、研究室内で常にディスカッションしているところもあります。

日本では、基礎研究など地道な研究を評価する旨もありますが、日進月歩の分野では、地道な研究に合わせて、しっかりとした研究評価やメンバーどおしのディスカッションが大切で、このような努力がノーベル賞級の成果につながった例はたくさんあります。

本記事が、これからジャーナル論文を投稿しようと考えているみなさまのお役に立てば幸いです。

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