研究方法とは、よく聞くことばですが、学術の世界ではどのように定義されているのでしょうか。
研究方法は、ふつう研究を実施する前に決定しておきます。的確な研究方法を選ぶことは、研究内容をうまくまとめ、最後に作成される研究論文を良質なものにすることに役立ちます。
自分の研究分野で使われている研究方法にも精通しておくことで、実際に自身が研究をおこなう際に利用できますし、また当該分野のいろいろな研究の本質的理解にも役立ちます。
本記事では、研究方法について、その種類や実施内容から注意すべきポイントまで解説します。
目次

研究方法とは、あらゆる研究を実施する場合に避けて通れない研究上の手段ともいえます。また研究方法の遂行においては、体系的に実施されることが大切です。
過度に複雑な方法である必要はありませんが、研究の基盤となるもので、学術の分野では、用いた研究方法の説明はどのような論文や研究であれ、不可欠です。たとえば、学術論文では、Materials and Methods(試料および実験方法)として、一つの項目にまとめることがよく実施されています。
実験方法は、自然科学系の論文では非常に重要な箇所で、これをおろそかにした論文は成り立ちません。場合によって、実験方法が異なると、別の結果がでてしまう可能性もありえます。
特にバイオや医療系などの論文では、実験方法の開発自体が問題となっている分野も存在しています。また宇宙物理などの分野では、実験方法である観測系の設定・確立自体が、大切な課題です。
自然科学系の研究では、実験方法の開発が鍵となった例は数多くあり、特に学術論文では力点をおいて記載する必要があります。当該論文においては、実験方法の開発自体が、その研究目的であり、その結果や考察を記載することとなります。
適切な研究方法を選べるかどうかで、執筆する研究論文の質が決まるといっても過言ではありません。研究の実施においては、研究方法の選択を適切におこなうことが、とくに重要で、研究結果の信頼性、妥当性、再現性を確保するために不可欠ともいえます。
まず研究を実施するとき、研究課題を設定しますが、その際にクルマの両輪のように、研究方法の検討と実行が求められます。研究方法がなければ、研究課題の実施はできませんし、研究課題の設定がなければ、研究方法が提起されることもありません。
参照元:READABLE記事「研究課題とは?その種類や作成法から注意すべきポイントまで解説」
このように研究方法とは、研究課題に関する実験をする際、研究データの収集と分析に使う技術や研究対象となる研究試料を示しています。
最近はなんでもAI頼みの風潮もあり、AIでの研究実行がないわけではありませんが、その際の研究方法が、AIを用いた実施のみであるなら、それはもはや(ヒトが実施する)研究ではありません。最近、ホワイトワーカー不要論などが出ていますが、研究者も同じように不要ということになります。
大規模言語学習法などからもわかるように、従来の研究とその成果をそこから追及するというスタンスでは、イノベーションのあるあらたな研究は実施できません。従来の多数の経験の上に構築されているのが、大規模言語学習ともいえます。

研究方法にはさまざまな種類がありますが、ひとつの方法が他の方法より優れているというわけではありません。
研究方法は、大きく2つに分けられ、定性的研究と定量的研究からなっています。
一般的に、定性的研究方法では、実験自身の観察結果(たとえば細胞レベルでの局在写真)などを、定量的研究方法では、実験データやその統計処理データ(数値的に捉えられるもの)などを、含んでいます。
定性的な研究方法は、現代科学の成立期から重要な手法であり、いろいろな分野の研究の基礎を築いたものといえます。
たとえば探求的な研究方法は、ダビンチなどのルネサンス期からはじまる科学的探求には、欠かせなかったものです。先日、科学研究における探求心の重要性を、ノーベル賞を受賞された北川先生も強調されています。
ガリレオは地動説を始めとした天文学的業績、ダビンチはモナリザや最後の晩餐等の美術的業績と、自然科学と人文科学のふたつの分野に貢献がありますが、人体構造学が人物の描写などに大きく影響したことはよく知られています。
機械と人の構造について、仮説から始まる深い洞察があったのです。むしろダビンチには、アートとサイエンスの境界はなかったのではないでしょうか。
このような探求的な研究方法は、現在は難しいという見方もないわけではないですが、それでは科学自体の否定になってしまいます。少なくとも科学研究に携わる研究者では、当然、自身の専門領域の中でも持ってほしい問いではないでしょうか。
宇宙線などを扱う現代物理学の先端分野でも、スーパーカミオカンデの研究などでも、世界最大級の素粒子観測装置のおかげで、あらたな素粒子論につながる成果が観測されています。このような高額な観測装置によるものでなくても、長期間の画像比較による宇宙観測を定性分析することも可能です。
たとえば宇宙観測で使用される赤外線画像を、20年前と現在を比較して、海王星の外側に9番目の惑星がある可能性を検証した例もあります。公転周期が1万年以上もあるということですが、最先端の分野でも定性分析などが使用されているのです。
また自然科学だけではなく人文科学の分野でも、定性分析は活躍しています。研究方法としては、主観的な経験、意味、社会現象を探求し、理解することに重点が置かれています。
現在も多用されるマーケティング分野の研究では、インタビュー、フォーカス・グループ、観察、内容分析などの手法が用いられています。このような手法は、人の行動、態度、社会的相互作用の複雑さなどについて、一定の理解をもたらしてくれます。
定量的研究方法は、数値データの測定と分析を伴うものです。これらの方法は、調査結果をより大きな集団に一般化し、仮説を検証することを目的としています。定量的手法は一般的に、調査、実験、統計分析、データモデリングを含み、結論を導き出すために客観的な測定と統計的手法に依存しています。
定性的研究と異なり、定量的な研究方法は、古典的な科学成果がだんだん一般的になってから、発展してきた経緯があります。近代になり、いろいろな実験が比較的容易に実施できるようになり、多量の実験データが供給されるようになったこととも相関があります。
定量的研究方法には、多量の数値データを用いる方法と、とくに医薬やバイオ分野でよくみられる比較検討型の研究方法があります。
演繹的な定量的研究方法では、実験系などのデータ解析を用いて、大量な測定値と変数に基づいて要因を特定したりするものです。統計学的なアプローチも広く用いられています。
たとえば、少し前の例になりますが、コロナウイルスが蔓延していたときに、外出率とコロナ感染率などの関係調査研究がかなり実施されました。この場合では、外出の程度とその際の感染率という変数との関係を調査研究することができます。
コロナの例以外にも、医療やバイオ分野でもこのような手法が広く用いられています。生活習慣と病気などの関係調査にも利用することができます。
またある程度の科学的データの蓄積が実施されたあとから、定量的な研究も発展してきたといえます。この最たる成果が、現在のAI研究ともいえ、大規模言語学習法LLMにより、ChatGPTなどのAIマシーンが開発されています。
AI開発では、さらに推論部分の開発が実施されているようですが、まだまだの感があります。一部の推論AIは、数学的回答がかなり正しかったというレベルでもてはやされているようですが、超知能AIには脳科学の発展がさらに求められているともいえます。
比較検討のための定量的研究方法は、たとえば医薬品開発などのバイオや医療分野で広く用いられている手法です。統計学を使用することになりますが、あらたな医薬品を投与したグループと、偽薬をコントロールとして投与したグループで、医薬品の効果があるか、調べるものです。
後の項目で紹介しますが、英文論文の例として当方の博士論文でもいわゆるダブルブラインドテストを実施しています。このような定量的研究方法においては、新規医薬品として、コントロールと比較して有意差のある効果が得られるかどうかが問題となります。このタイプの試験研究は、医療などのバイオ分野のベースともなる研究です。
あらゆる医薬品の認証には、このタイプの実証データはかかせません。国内では、患者群を2つにわけた実地研究ができにくい(患者が集まらないなど)ので、米国などで試験をおこなう場合も多くなっています。「この医薬品には投与時に有効な効果があるか」などの研究課題は、医薬品検証ではとくに重要なテーマです。

研究方法の設定には、リサーチクエスチョンとの整合性をまず確認しておくことが大切です。自身が取り上げた仮説やリサーチクエスチョンに適する手法でなければなりません。
学術論文では、研究方法の項目を書くときには、どのような方法を選んだのか、なぜそれを選んだのか、どのように実施したのかを明確に説明する必要があります。
リサーチクエスチョンは、科学研究においては重要な土台となるものです。
科学研究の発展に対して、適切なリサーチクエスチョンが大きく貢献してきたことは間違いありません。仮説とリサーチクエスチョンの両輪により、科学黎明期であるルネサンスの時代から継続して実施されてきており、現代でもその重要性は失われていません。
参照元:READABLE記事「リサーチクエスチョンとは?特徴・種類や作り方を紹介」
研究方法の設定についても、十分に検討してから準備する必要があり、研究論文などの内容が特に重視される場合は、大切な視点となります。本年の国内ノーベル賞の受賞者が最近発表されましたが、生理学賞でも化学章でもイノベーションにつながる、研究の着眼点が注目を集めています。どの研究分野においても、研究方法の設定が重要となります。
文献調査で、研究方法の比較検討をおこなうことも大切です。
あらたなリサーチクエスチョンに適切な研究方法を採用します。研究費用により、研究方法が規定されてしまうこともありますが、それでも費用の枠内でベターな(研究方法の)原案をリサーチすべきです。
原案というのは、リサーチクエスチョンから研究方法を提起し、さらに継続して文献調査をする場合もあるからです。研究方法の原案を作成すれば、可能なら同じ研究室のメンバーに聞いてみることもできます。
とくに自身があまり当該分野には詳しくない場合は他の研究者の意見も重要です。当該分野の研究経験がかなりある場合は、有益な示唆があるかもしれません。また時間的にインターバルをおいて、自分で振り返って検討してみることも大切です。
相反する結論を主張する複数の研究が発表されることもあります。そのような異なる結果が生まれるひとつの理由は、研究方法の違いによるものです。たとえば、がんなどの細胞系に関する基礎研究では、研究方法にも包含される「研究試料」による違いも大きく起因しています。
研究方法実施時のブラッシュアップも重要な視点です。
最初に実施した方法やプロセスが、その研究にあっているとは限りません。当初意図した研究方法でまずテストしてみると、その方法を一部改善したり、また全く別のプロセスの方が、当該研究の目標としても適切なことがあります。
たとえば食品製造のようなプロセスでも、あらたな手法の方がベターであったり、大量生産用のプロセスとしては、別の方法の方が適切であったりします。なお良い研究方法とは、明確性や特定性があり、実験過程から目標とした結果が得られやすいものです。
また研究方法があまりにも広範囲にわたるのは、科学研究には向いていません。広範囲になるほど、多数の要因や変化を考慮しなければならなくなります。
実験データの設定が広範囲すぎたり、実験のプロセスが長すぎたりすると、研究方法とその結果の解釈も難しくなってしまいます。研究方法に焦点があっていると、収集したデータと観測データの両方から、予測したリサーチクエスチョンや仮説の妥当性を立証しやすくなります。

ここでは研究方法実施の具体的な内容についても、和文論文と英文論文の場合を例にして紹介します。
和文論文での研究方法の具体例として、当方の修士論文をとりあげてみます。
(修士論文名:固定化プロテアーゼの調整とチーズ製造への利用)
研究方法として、「材料」と「方法」のふたつの項目から成っています(二重線以下を参照してください)。なお研究方法には、実験方法だけではなく、その実験に使用する試料や材料を特定することが大切です。試料が異なると、別の実験結果が出る場合もあり、両方を精査して研究を実施します。
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(Ⅰ)材料
(1)プロテアーゼ
固定化と凝乳特性の検討に供したプロテアーゼは、以下のとおりである。
アルカリプロテアーゼ、アシッドプロテアーゼ、ニューラーゼ(△製薬)、レンネット(〇〇研究所)、ムコール・レンニン(△△産業)、・・・
(2)固定化担体
固定化に用いた担体として、〇〇樹脂MWAー1及びMSA-1(△社)を用いた。
(3)試薬
架橋材としては、冷蔵したグルタルアルデヒド(25%、〇〇商事)を、またプロテアーゼの基質としてハマーステンカゼイン(△△社)を用いた。その他の試薬は、・・・
(4)牛乳
チーズ製造原料として、大学付属農場のホルスタイン種乳牛より搾乳した新鮮乳を用いた。連続酵素反応に用いた乳は、市販のホモゲナイズされたものである。
(Ⅱ)方法
(1)プロテアーゼ活性の測定
プロテアーゼ活性は萩原・Anson変法(20)に基づき、主としてハマーステンカゼイン(以下、カゼインと略記する)を基質として測定した。
またN,α-benzoyl-L-arginine ethyl ester(BAEEと略記する)を基質として用いた時の活性は、255nmの吸光度を測定して求めた(21)。
(2)溶液酵素の活性
基質として、カゼインを用いM/15リン酸緩衝液(pH7)に、0.5%濃度(w/v)となるように溶解する。酵素溶液1mlを0.5%カゼイン5mlと所定の温度にて30分間反応させたのち、10%トリクロル酢酸6mlを加え一定時間放置したのちNo.2Cろ紙でろ過して除蛋白し、ろ液の280nmにおける吸光度を測定して分解度とした。
(3)固定化酵素の活性:以下略
(4)凝乳活性の測定:以下略
(5)プロテアーゼの固定化法:以下略
(6)固定化蛋白量の定量法:以下略
(7)シアル酸の定量法:以下略
(8)固定化プロテアーゼの検討法:以下略
(9)連続酵素反応法:以下略
(10)固定化プロテアーゼによるチーズ製造法:
固定化プロテアーゼを用いたチーズの製造は、常法を一部かえた次のような方法で行った。まず新鮮生乳をNaOHにてpH7.0に調整し、その後、固定化プロテアーゼをつめたカラム(固定化プロテアーゼカラムと呼ぶ)の中で、連続的に反応させ凝乳に充分程度の蛋白分解をおこなった。その後0.02%になるよう塩化カルシウムを加え、これにあらかじめ前培養しておいた一定量の乳酸菌を接種し、乳酸発酵させ凝固カードを得る。・・・・・・
(11)チーズの分析法:以下略
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なお(Ⅱ)方法(1)プロテアーゼ活性の測定において「萩原・Anson変法(20)」として、括弧内の20番目の引用文献を巻末に記載しています。このように既存実験手法を引用することは、研究方法の記載においても大切な視点です。
参照元:READABLE記事「引用文献の書き方とは?その目的から引用方法や引用時のポイントまで解説」
また一部の研究方法では、研究の進展に伴い、手法のブラッシュアップも必要です。たとえば本例では(5)プロテアーゼの固定化法や、(10)固定化プロテアーゼによるチーズ製造法、などがそれにあたります。
前者の項目では、論文には書かれていませんが、固定化法を実験し、最終的に適切な方法が記載されています。後者の項目では、従来のチーズ製造法とは違うプロセスを実験方法として最終的に採用したことを紹介しています。
なおふたつの方法のプロセスを併記すると、以下のように表せます。
既存方法:生乳⇒乳酸菌発酵⇒塩化カルシウム添加⇒レンネット(凝乳)酵素添加⇒凝固チーズカードの形成
研究方法:生乳⇒連続反応カラムによる固定化酵素反応⇒塩化カルシウム添加⇒乳酸菌発酵⇒凝固チーズカードの形成
学術論文などでは、研究方法として、材料と方法の両方が大切ですが、英文論文の場合もMETHODS AND MATERIALSとして記載されています。
英文論文での研究方法の具体例として、当方の博士論文をとりあげて記載します。
(博士論文名:PSYCHO-PHYSIOLOGICAL STUDIES ON BITTER TASTE SENSITIVITY)/
苦味感受性に関する心理生理学的研究)
たとえば食品の味の嗜好に関して、嗜好調査を行い、数値的なデータを収集して分析を行う場合があります。ヒトを対象に調査を行った場合、どのような被験者を選んだのか、どのような環境でどのような質問をしたのか、得られた回答をどう分析したのか、またはどのように結果を数値化したのか、なども記載されている必要があります。
本研究は、嗜好分野のものではありませんが、味とくに苦味に関する閾値(感知する最小限度の値)や感受性について分析し解析しています。記載されている研究方法の項目では、以下のようになっています。
この部分は、苦味感受性をヒトを用いた官能評価で解析する研究方法で、下記の項目から成っています。
1.1. Subjects
Subjects were all healthy, young, adult males and females recruited by public advertisement from the Philadelphia area. Criteria for exclusion included use of any form of tobacco and current health disorders or use of medications reported to alter taste and smell.
(本実験に参加した被検者のリクルート条件などを記載しています。ヒトを用いる研究では、研究方法の設定において被検者の扱いも重要です)
・・・・・・・・
The experiments were approved by the University of Pennsylvania Committee on Studies Involving Human Beings.
(ペンシルベニア大学の倫理委員会において、本研究が許可され且つその規定に沿って実験されたことを示しています)
1.2. Detection threshold measure
Taste testing in all sessions began by asking the subject the rinse several times with deionized water. All samples for threshold and suprathreshold testing consisted of ten ml of solution at room temperature, which the subjects were instructed to sip, evaluate and expectorate. No stimuli were swallowed at any point in the experiments, and deionized water was used for testing between samples.
(本実験でよく使用される味覚閾値測定において、事前の取扱い方法を示しています)
Detection thresholds were determined by staircase method with a triangle procedure. To begin a trial, subjects rinsed twice with distilled water. They were then presented three cups containing 10ml samples. One contained the taste compound and two cups contained distilled water. A rinse was interspersed between each sample. The subjects task was to identify the cup with the taste. ・・・
(味覚閾値を、順番にその濃度が上昇していく「階段法(staircase method)」で測定することを記載している部分です。また各階段部分での測定には、いわゆるトライアングルテスト(テストとブランクから構成される3試料のうち、どれかひとつがテスト試料なので、それを当てる)を用いています。)
1.3. Time-intensity measure
The instrument was calibrated to allow the pen to deviate along a 200-mm path marked on the recorder at 0(“no taste”), 100(“moderate”), and 200 mm(“extremely strong”).
(Time-intensityカーブという、実験心理学では比較的よく使用される手法を用いています。)
1.4. Measurement of the effect of chronic caffeine ingestion
Eighteen subjects were selected based upon a reported customary caffeine consumption of less than 100mg/day. The 9-week experiment was conducted using a double-blind, placebo-controlled within-subject design, with half the subjects given caffeine given the placebo first. During the caffeine experimental periods, subjects were given gelatin capsules containing 150mg caffeine. The placebo contained 250mg cornstarch alone. ・・・・
(カフェインを長期摂取したときに、その閾値が変化するか検討する研究方法の項目です。いわゆるダブルブラインドテストという、医薬品開発などで使用される方法と同じ手法となります。)
1.5. Statistical Analysis
Statistical analyses were carried out using the SPSS/PC+ software package (SPSS Inc., Chicago IL). Descriptive data are reported as mean and s.d. unless noted otherwise. Group comparisons are based upon the studentized T-test with the criteria for statistical significance set at p<0.05. The Kruscal-Wallis Oneway ANOVA was used to evaluate the relationship between thresholds and intake of caffeine. Spearman correlation coefficients were computed to asses the association between thresholds for the various compounds.・・・・・・
(その当時、学術分野ではよく使用されていたSPSSを統計解析に使用しました。なお現在でもIBM SPSSとしてその後継ソフトが利用されています。すべてのデータに有意差があるかどうか検定することも大切です。)
Six-week-old mice of tha C57BL and BALB/C strains were tested for neural response to the chemical stimuli by using the glossopharyngeal (GL) nerve.
(マウスの味覚神経を用いた神経生理学的手法を記載した部分です。 C57BLが野生系統で、BALB/C は変異系統となります。なおglossopharyngeal (GL) nerveとは、舌咽神経系のことで、苦味に反応する味覚神経です。)
この部分は、カフェインとホップ成分であるiso-α acidsの唾液中の濃度を測定する分析手法について記載している項目です。
なおカフェイン摂取により、唾液中にカフェインが含有されますが、iso-α acidsでは唾液中への移行はありません(すなわち、前者では味覚閾値への影響が考えられるのですが、後者では摂取による影響はないことになります)。
3.1. Saliva collection procedure
The method of Navazesh and Christensen(1982)was used for the collection of stimulated whole saliva. Whole-mouth-stimulated saliva was collected for determining salivary level of caffeine during 3 consecutive min while subjects chewed on an unflavored gum base at a metered rate of 80 chews/min. ・・・・・・
(クロマトグラフィー分析の前に、唾液を採取しますが、その手法について記載しています。Christensen(1982)とありますが、古くなりましたが1982年の文献で、本論文の巻末にて引用文献として紹介しています。)
3.2. Chromatographic procedure
Chromatographic equipment: For the caffeine analysis, M45 solvent delivary system (Watres Associates, Inc.) was used with a UVIDEC-100-ⅠⅠⅠdetector (Japan Spectroscopic Co.,).
(クロマトグラフィー分析は、Waters社製の装置を使用していますが、分析装置についても詳細を記すことが大切です)
Chromatographic conditions: For the caffeine analysis, an analytical column packed by a Perkin-Elmer Pecospher was used according to the method of Hartley et al(1985).
(実際に分析する場合のクロマト条件についても記す必要があります。)

研究方法実施時の注意点についても以下に紹介します。
研究方法とは、研究者が研究課題を実施したり、仮説を検証したりするために、データを収集、分析、解釈するために採用する体系的なアプローチをさしています。研究方法には、幅広い戦略、手順、ツールがあり、研究の性質、扱う研究課題、学問分野や研究分野によって異なります。定性的、または定量的方法に分類され、それぞれがデータを収集や分析するための明確なアプローチを提供しています。
なお、ある程度の科学的データの蓄積が実施されたあとから、定量的な研究も発展してきたといえます。この最たる成果が、現在のAI研究ともいえ、大規模言語学習法LLMにより、ChatGPTなどのAIマシーンが開発されています。
AI開発では、さらに推論部分の開発が実施されているようですが、まだまだの感があります。推論プロセスの開発においては、単にLLMのような大量データの処理だけでは解決できない問題があり、定性的な研究方法も重要です。
このように研究方法実施時には、定性的か定量的かに注意することも大切です。どちらが優れているかということではなく、研究課題に基づき、これを設定していきます。
また両方を融合した融合的研究もあります。マーケティング分野において、ある問題の全体像を把握するために、まず専門家に対して専門的な調査やインタビューをおこないます。さらに、一般人に大規模なアンケート調査を行って質的および量的データを収集しながら、得られた両方のデータを組み合わせて分析する研究などです。
たとえば食品分野の研究では、自社専門家による食品評価に加えて、消費者の味覚やブランド調査を行って、融合する形式の研究は良く実施されています。ただほとんどが論文などでは公開されておらず、自社のノウハウとして取得されているのが通例です。
研究では、実験データが得られたらその実験結果を分析・解析します。当然、実験データを伝えるためのグラフや表などを作成し、必要に応じて統計解析を行うことになります。
研究結果には、実験ノート等を参照しながら、過不足なく箇条書きで論理的な展開にそって記載します。図表掲載時には、コントロールといわれる対象物やバックグラウンドのデータなども追記します。
バイオ系では、実験系でいろいろな実験動物を扱うこともあり、動物虐待防止などの観点も含めて、各大学の倫理委員会などで適正に処理することが大切です。とくに学術論文では、この辺も含めて論文採用条件として規定されていることもあります。
また統計処理についても、結果解釈などの内容をふくめ、的確に記載することが大切です。使用した統計処理ソフトの種類なども、有意差判定などで重要となり、場合によっては当該論文の受理の可否にも影響します。
統計処理においては、測定誤差や交絡変数などの問題についても研究者は理解していなければなりません。データ科学の課題は、研究者にもついてまわっています。
測定誤差では、信頼性の低い、または無効な収集ツールから生じ、不正確な測定となることがあります。研究者は、測定誤差を減らすために測定方法を設計し、検証すべきです。
交絡変数とは、独立変数と従属変数の両方に影響を与えるため、因果関係を立証するのが難しくなることです。このような交絡変数を特定し、コントロールしなければなりません。
また知財面についても、研究方法の実施時から適切に対応するようにします。場合によっては、あらたな研究方法自体が特許などの知財にもあたります。
研究論文にどの程度まで記載するかは難しい問題もありますが、論文申請と同時に特許申請をおこなう場合もあります。逆に研究ノウハウとして、保持しておくことも求められたりします。
最先端科学では、論文と特許の同時申請が推奨される場合もあり、研究者として留意すべき問題です。とくに国費として多くの税金を投入されている国立大学では、研究成果自体を、研究者のみならず国民にも還元していくというスタンスも大切です。
研究者は、研究方法の計画と実施に責任を持つことも大切です。
また研究にあたっては、倫理指針を遵守し、インフォームド・コンセントを得たり、研究参加者の権利を守ることも求められています。
たとえばヒトを用いた実験などの場合は、各大学での倫理委員会の承認を得て、その規定に従う必要があります。先ほど記載した当方の論文でも、ペンシルベニア大学の倫理委員会において、本研究が許可され且つ、その規定に従っています。
研究方法とは、何を目的とし、何を対象とし、何を明らかにしたいのかなどにより、決定されるものです。学術論文において、研究結果の部分は、論文のキーとなる部分であり、図表なども用いて明確に記載する必要がありますが、そのデータ自体の信憑性についても保証しなければなりません。
研究計画にそって実験をおこない、実験データを得ることになります。たとえば、対象となる試料の選択や、実験系の開発を行うなど関連の手順も場合によっては必要です。
サンプリングの偏りについても注意を払う必要があります。選択されたサンプルが代表的でない場合に発生し、偏った結果につながるので、このバイアスを最小化することが求められます。
すなわち、適切なサンプリング技術やダブルブラインドテストを使用する必要があり、バイオ関連や医薬品開発などでは必要な技術です。とくにダブルブラインドテストは、米国では実験心理学分野などで従来から多用されており、基礎的な研究論文にも同テストが必ずといっていいほど記載されています。
研究方法の実施時の注意点に加えて、研究成果を公表する研究論文においても、研究方法を記述する場面が数多くあります。
研究方法の記載方法としては、過去形でおこない、実験結果の考察や解釈の部分は、考察の項目で記載するようにします。また実験データは、グラフが作成できる場合は使用しますが、グラフ化が難しい場合は、代わりに表を用いたり文章などで記載します。当然ですが、同じデータは図表のどれかで記載し、重複して使用するのは避けなければなりません。
また研究方法は、研究結果とともに記載されるので、できるだけ客観的な評価や考察をおこないます。本研究によって、どのような有効性が確かめられたか、 関連研究と比較してどのようなメリットがあるかなどの解説もつけます。またもし実験方法や解析などがうまくいかなかったときは、その内容をありのままに記載し、さらに自身の研究でいたらなかった点などにもふれて、問題点を明確化しておくことが大切です。
研究分野におけるイノベーションを論考する場合、引き合いに出されるのが「アートとサイエンスの領域をクロスオーバーした知識」が科学の発展に寄与するという考え方です。たとえばダビンチは、彼こそが「リベラルアーツの代表的な成功例」だとも言われたりしています。
融合した知識そのものが重要なのではなく、それにより新しい視点からのあらたな疑問、すなわち「リサーチクエスチョン」が生まれることになります。理系大学でも、リベラルアーツ研究に関する学部まで設置している教育機関もあります。
アートとサイエンスの融合といえば、ダビンチの独壇場ですが、単に融合すればよいわけではありません。ダビンチの例をみれば、単なる融合というより「優れたリサーチクエスチョン」を作る方が、よほど有効なことになります。
ダビンチといえば有名なモナリザがありますが、最後のすみかとなるフランスでの生活でも肌身はなさず、絵画に手もいれていたといわれています。イタリアの都市やフランスでの生活や研究において、ダビンチにはフランス国王などの多くのパトロンがついていました。
パトロンというと何か研究とは無縁のように考える向きもありますが、パトロンからの研究費用により、これらの偉大な研究や芸術が花を開いたともいえます。本文ではふれませんでしたが、「研究課題」と同様に「研究方法」についても、その実行には「研究費用」の問題が常について回ります。
たとえばスーパーカミオカンデでの研究は、膨大な研究費用がないと実行できず、東大だから実施できる研究ともいえます。最近はさらに国際的な研究協力により、宇宙物理学などの国際研究も盛んですが、この理由のひとつも国際間で多額の研究費用を分担しよう、ということに起因しています。
最近ようやく東北大で、留学生の授業料を日本人の約1.7倍としたそうです。留学生の費用を国内学生より2倍程度に上げることは、昔から米国などでもかなり実施されています。
留学生のとくに多い東大でも、同様な対策をそろそろ実施すべきではないでしょうか。というのはカミオカンデを含めて、東大には他の大学に比べて、多くの国費(すなわち税金)が投入されています。
たいてい留学生が多いのは先端工学部門におけるもので、研究費用を含む研究者や技術者としての養成費のかなりの部分を、国民が負担していることになるからです。またこれらの先端分野の研究者は、大学院まで在籍してもかなりの場合は、自国に帰ってしまいます。
留学生の多い私立大学の事情はよくわかりませんが、国費の投入額が学生数に比較してかなり少なく、その大学自身の経営努力もあり、それほど指摘すべきではないともいえます。また研究費用があまりかからない学部に偏っている大学もあり、研究費用の問題が、大学経営に直接結びついていない場合もあります。
お金の問題ばかりいうと、崇高なる研究をフォローしていないともいえそうですが、これは国内の従来の事情が関係していそうです。たとえば軍事研究というと、日本ではとんでもないという志向が一頃ありましたが、世界の趨勢と比べるとかなり遅れています。
当方も30年以上前に、アイビーリーグの大学付属の基礎研究所に2年ほど留学していましたが、研究費用の約3分の1は、退役軍人省部門からの費用でした。基礎研究分野でも、いわゆるデュアルユース関連として、研究費用が支出されていたといえます。
実はダビンチは、パトロンを探すための経歴書には「軍事技術者」と書いていたそうです。今後も国際的な研究協力の継続により、宇宙物理学などの国際研究がさらに発展することが期待されます。

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都内国立大学にて、研究・産学連携コーディネーターを9年間にわたり担当。
大学の知財関連の研究支援を担当し、特にバイオ関連技術(有機化学から微生物、植物、バイオ医薬品など広範囲に担当)について、国内外多数の特許出願を支援した。大学の先生や関連企業によりそった研究評価をモットーとして、研究計画の構成から始まり、研究論文や公募研究への展開などを担当した。また日本医療研究開発機構AMEDや科学技術振興機構JSTやNEDOなどの各種大型公募研究を獲得している。
名古屋大学大学院(食品工業化学専攻)終了後、大手食品メーカーにて31年間勤務した経験もあり、自身の専門範囲である発酵・培養技術において、国家資格の技術士(生物工学)資格を取得している。国産初の大規模バイオエタノール工場の基本設計などの経験もあり、バイオ分野の研究・技術開発を得意としている。
学位・資格
博士(生物科学):筑波大学にて1994年取得
技術士(生物工学部門);1996年取得