博士論文の書き方完全ガイド|研究計画から構成、執筆そして公開まで
2025/3/27
研究・論文
博士論文という長い道のりに、不安や疑問を抱えていませんか?研究テーマ選び、計画、構成、そして執筆…どこから手をつければ良いのか、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。
本記事では、あなたの博士論文執筆を徹底的にサポート!研究計画の立案から、論文構成、執筆、そして公開まで、必要なステップを完全網羅したガイドで、あなたの「わからない」を解消します。
博士論文を始める前に
博士論文は、研究者としてのキャリアをスタートさせるための重要な論文です。執筆を始める前に、しっかりと準備を行いましょう。
研究計画書の重要性
博士論文を執筆する上で、まず重要なのが研究計画書の作成です。研究計画書は、いわば研究の羅針盤。航海に羅針盤が不可欠なように、博士論文の執筆にも研究計画書が欠かせません。研究計画書には、研究のテーマ、目的、方法、予想される結果などを明確に記述します。これにより、研究の全体像を把握し、計画的に研究を進めることができます。
研究計画書を作成するメリットは、以下の点が挙げられます。
- 研究の道筋を明確化:研究の全体像を把握することで、迷走することなく、目標に向かって研究を進めることができます。
- 時間管理の効率化:研究のスケジュールを立てることで、時間配分を最適化し、締め切りまでに論文を完成させることができます。
- 指導教員とのスムーズな連携:研究計画書を共有することで、指導教員から的確なアドバイスやフィードバックを得やすくなります。
例えば、東京大学では、研究計画書に以下の項目を記載することが推奨されています。
- 研究タイトル(題目、テーマ)
- 研究の目的(何を明らかにしたいのか)
- 研究の背景(なぜこの研究をする必要があるのか)
- 研究で採用する方法(どのように研究を進めるのか)
- 研究の結果から予想される成果
- 研究の特徴(独自の視点や方法は何か)
- 文献(先行研究や参考文献)
研究の目的を記述する際には、単に「○○を明らかにする」と記述するのではなく、「○○を明らかにすることで、△△という課題を解決する」のように、研究の目的と社会的な意義を関連付けて記述することで、より説得力のある研究計画書を作成できます。
このように、研究計画書の内容は多岐に渡りますが、それぞれの項目を丁寧に記述することで、より質の高い研究計画書を作成できます。
研究テーマの設定
研究テーマは、博士論文の根幹となるものです。興味のある分野、研究室で対応可能な分野、先行研究などを考慮しながら、新規性、独自性、実現可能性のあるテーマを設定しましょう。
良い研究テーマを設定するためのポイントは、以下があります。
- 社会的な意義:その研究が社会にどのように貢献できるのかを考えましょう。
- 実現可能性:研究期間内に達成可能なテーマを設定しましょう。
- 興味関心:興味のあるテーマを選ぶことで、モチベーションを維持できます。
- 先行研究との差別化:過去の研究を踏まえ、独自の視点や方法を盛り込みましょう。
- 明確なリサーチクエスチョン:研究を通して、どのような疑問を解決したいのかを明確にしましょう。
博士論文のテーマ設定は、将来の研究活動にも影響を与える可能性があります。そのため、上記のポイントを踏まえ、慎重にテーマを設定することが重要です。例えば、近年注目されているAI技術をテーマにする場合、既存のAI技術の課題を解決するような新規性の高い研究テーマを設定することで、博士論文としての価値を高めることができます。
指導教員との連携
博士論文の執筆において、指導教員との連携は非常に重要です。研究計画の相談、論文の構成、参考文献の選択、著作権に関する手続きなど、様々な場面で指導教員のアドバイスを受けるようにしましょう。
指導教員との良好なコミュニケーションを築くためには、
- 定期的な面談:研究の進捗状況や疑問点を定期的に報告しましょう。
- 積極的な質問:わからないことは遠慮なく質問しましょう。
- 意見交換:論文の構成や内容について、積極的に意見交換を行いましょう。
- 早期の相談:論文執筆で困ったことがあれば、早めに相談しましょう。
- 相手を尊重する:指導教員の意見を尊重し、自分の意見も明確に伝えましょう。
論文の構成に悩んでいる場合は、指導教員に相談することで、適切なアドバイスをもらえるでしょう。
指導教員は、博士論文を完成させるための良きアドバイザーです。積極的にコミュニケーションを取り、指導教員の知恵を借りることで、よりスムーズに論文を執筆できます。
博士論文の構成と章立て
博士論文の構成
博士論文は、一般的に以下の構成で成り立っています。
- 要旨:論文全体の概要を簡潔にまとめたもの
- 目次:論文の構成を示したもの
- 第1章 緒論(はじめに):研究の背景、目的、本論文の構成などを述べる
- 第2章関連動向調査分析と問題点・課題の提示
- 第3章~N章問題解決に向けた理論的内容
- 第N+1章~M章 理論的な内容に対する実証的・実験的内容
- 第M+1章 結論(おわりに):研究成果のまとめ、今後の研究課題、展望などを述べる
- 参考文献:論文で引用した文献の一覧
- 研究業績
- 謝辞:研究に協力してくれた人々への感謝の意を表す
- 付録:本文に含めることができなかった資料などを掲載する
序論の書き方
序論は、読者に研究の背景、目的、意義などを理解してもらうための章です。なぜこの研究を行うのか、どのような問題意識を持っているのかを明確に示します。
序論で記述する主な内容は以下の通りです。
- 研究の背景:社会的な背景や先行研究などを踏まえ、なぜこの研究を行う必要があるのかを説明します。例えば、近年注目されている社会問題や、未解決の学術的な課題などを具体的に示すことで、読者の関心を高められます。
- 研究の目的:この研究を通して何を明らかにしたいのかを具体的に記述します。研究の目的を明確に示すことで、読者は論文の核心を理解しやすくなります。
- リサーチクエスチョン:研究で答えるべき問いを明確に提示します。問いの形で提示することで、研究の焦点が明確になります。
- 論文の構成:論文全体の構成を概説し、読者が内容を理解しやすくします。各章のテーマや内容を簡単に紹介することで、読者は論文全体の構成を把握できます。
さらに、先行研究のレビューを行い、自分の研究が既存の研究とどのように異なるのか、どのような新しい貢献をするのかを明確にすることが重要です。先行研究のレビューでは、単に先行研究の内容を紹介するだけでなく、それらの研究の限界や問題点を指摘し、自分の研究の必要性を強調します。
本論の書き方
本論は、研究内容を詳細に記述する章です。実験や調査の方法、結果、考察などを論理的に記述し、読者が研究内容を理解し、その妥当性を判断できるようにします。
本論を記述する際のポイントは以下の点が挙げられます。
- 章立て:研究内容をいくつかの章に分け、それぞれに明確なテーマを設定します。章ごとにテーマを分けることで、読者は内容を理解しやすくなります。
- 図表の活用:図表を効果的に利用することで、複雑なデータをわかりやすく示します。図表は、文章だけでは伝わりにくい情報を視覚的に表現するのに役立ちます。
- 参考文献の引用:参考文献を適切に引用することで、論文の信頼性を高め、自分の主張を裏付ける根拠を示せます。
- 論理的な構成:主張、根拠、具体例を明確に示し、論理的な流れで記述することで、読者を納得させることができます。
各章の冒頭で、その章で何を論じるのかを明確に示し、章の終わりで、その章の議論をまとめることも重要です。また、章と章のつながりを意識し、論文全体がスムーズに読めるように工夫しましょう。例えば、「第2章では、〇〇について論じた。第3章では、第2章の議論を踏まえ、△△について検討する」のように記述することで、読者は論文の展開を理解しやすくなります。
結論の書き方
結論は、研究成果をまとめ、今後の展望などを述べる章です。研究の成果を要約し、その意義や今後の課題などを示すことで、読者に研究の全体像を理解してもらいます。
結論で記述する主な内容は以下の通りです。
- 研究成果の要約:本論で得られた主要な結果を簡潔にまとめます。結論は、論文全体の締めくくりとなる部分なので、簡潔でわかりやすい文章が重要です。
- 本研究の理論的・実務的な貢献・含意:既存研究に対する本研究の位置づけと、理論的・実務的な貢献を明確に示します。自分の研究が、学術界や社会にどのように貢献できるのかを具体的に示すことで、論文の価値を高めることができます。
- 研究の限界と今後の課題:研究の限界や今後の課題を提示し、さらなる研究の発展に繋げます。研究には限界があることを認識し、今後の研究課題を提示することで、研究の継続的な発展を促すことができます。
- 将来展望:研究成果を踏まえ、今後の研究の方向性や展望を示すことで、読者に更なる期待を抱かせることができます。
博士論文の執筆
博士論文の執筆は、長期間にわたる根気のいる作業です。計画的に進め、質の高い論文を完成させましょう。
文献の探し方と参考文献リストの作成
博士論文を執筆する際には、信頼できる文献を収集し、参考文献リストを作成することが重要です。参考文献リストは、論文の信頼性を担保するだけでなく、読者が引用元を確認するための重要な情報源となります。
文献を探す際には、以下の方法があります。
- 文献データベース:CiNii Articles、J-STAGEなどの文献データベースを利用します。これらのデータベースは、学術論文を効率的に検索するのに役立ちます。
- 図書館:大学図書館や公共図書館で蔵書検索を行います。図書館には、専門書や学術雑誌など、貴重な資料が豊富に揃っています。
- インターネット検索:Google Scholarなどの検索エンジンを利用します。インターネット検索は、幅広い情報にアクセスできる便利な方法です。
参考文献リストを作成する際には、以下の点に注意しましょう。
- 引用形式:所属する分野の引用形式に従って記述します。引用形式は、分野によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。
- 正確な情報:著者名、出版年、論文名などの情報を正確に記述します。参考文献リストは、読者が引用元を確認するための情報源となるため、正確な情報を記載することが重要です。
- 網羅性:引用した文献をすべて記載します。引用漏れがあると、論文の信頼性を損なう可能性があります。
図表の作成と効果的な活用
図表は、複雑なデータをわかりやすく示すために有効な手段です。見やすく、正確な図表を作成し、本文と合わせて効果的に利用しましょう。
図表を作成するポイントは以下の点が挙げられます。
- 正確なデータ:正確なデータに基づいて作成します。図表は、データに基づいて作成されるため、データの正確性が非常に重要です。
- わかりやすい表現:図表の種類や色使いなどを工夫し、わかりやすく表現します。図表は、読者が理解しやすいように、簡潔でわかりやすい表現で作成する必要があります。
- 適切なサイズ:本文とのバランスを考慮して、本文の邪魔にならないように、適切なサイズに調整します。
- 本文との連携:図表の内容は、必ず本文中で説明しましょう。図表は、本文と合わせて効果的に利用することで、より理解を深めることができます。
- 出典の明記:他の文献から引用した図表は、出典を明記しましょう。著作権に配慮し、出典を明記することで、論文の信頼性を高めることができます。
文章の書き方と構成
博士論文は、論理的な文章で記述する必要があります。文章の構成や表現方法を工夫し、読者が理解しやすくなるように心がけましょう。
文章を書くポイントは以下の点が挙げられます。
- 簡潔な表現:わかりやすい言葉で、簡潔に表現します。難しい専門用語を避け、わかりやすい言葉で記述することで、読者は内容を理解しやすくなります。
- 論理的な展開:主張と根拠を明確に示し、論理的に展開します。論理的な文章は、読者を納得させるために重要です。
- 客観的な記述:感情的な表現や主観的な意見は避け、客観的に記述します。博士論文は、客観的な視点で記述する必要があります。
- 一貫性:論文全体を通して、一貫した論調を保ちましょう。論文全体で、一貫した主張を展開することで、読者は内容を理解しやすくなります。
- 推敲:誤字脱字や表現の誤りがないか、丁寧に推敲しましょう。推敲は、質の高い論文を完成させるために不可欠な作業です。
よくあるミスと注意点
博士論文の執筆において、よくあるミスと注意点を以下にまとめます。
- 剽窃:他の論文や文献からの盗用は厳禁です。必ず引用元を明記しましょう。
- 誤字脱字:誤字脱字は、論文の信頼性を損なうだけでなく、審査員の心証を悪くする可能性があります。時間をかけて丁寧に校正しましょう。
- 論理の飛躍:論理的な整合性を欠いた記述は、論文の説得力を弱めます。主張と根拠の関係を明確にし、論理の飛躍がないか確認しましょう。例えば、「Aである。したがって、Bである」という記述があった場合、AとBの間に論理的なつながりがあることを明確に説明する必要があります。
- 図表の不備:図表は、わかりやすく正確に作成する必要があります。図表のキャプションや凡例が適切か、データに誤りがないかなどを確認しましょう。
- 参考文献の誤り:参考文献の記述に誤りがあると、論文の信頼性を損ないます。参考文献リストの形式が統一されているか、著者名や出版年などに誤りがないかを確認しましょう。
- 著作権:論文を公開する際には、著作権に配慮しましょう。著作権侵害は、重大な問題となる可能性があります。特に、図表や写真などを引用する場合には、著作権者の許諾が必要かどうかを確認しましょう。
- 二重投稿:同じ内容の論文を複数の学術雑誌に投稿することは避けましょう。二重投稿は、研究倫理に反する行為です。
これらのミスは、注意深い確認で防げます。時間をかけて丁寧に論文をチェックし、質の高い博士論文を完成させましょう。
博士論文の公開と出版
博士論文は、研究成果を広く公開し、社会に還元するためにも重要な役割を担っています。
オープンアクセスと機関リポジトリ
近年、博士論文をインターネット上で公開するオープンアクセスが普及しています。オープンアクセスにより、誰でも無料で論文にアクセスできるようになり、研究成果の普及が促進されます。
所属機関の機関リポジトリなどに論文を登録することで、オープンアクセス化することができます。機関リポジトリとは、大学などの学術機関が、自らの研究成果や学術情報を収集・保存・公開するためのシステムです。オープンアクセス化することで、研究成果を世界に発信できます。
オープンアクセス化のメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 研究成果の可視化:より多くの人に研究成果を知ってもらうことができます。
- 研究の進展:他の研究者からのフィードバックを得ることで、研究の進展に繋がります。
- 社会貢献:研究成果を社会に還元できます。
ただし、オープンアクセス化には注意点もあります。例えば、著作権の問題です。論文をオープンアクセス化する際には、著作権者の許諾が必要な場合があります。また、オープンアクセスジャーナルの中には、質の低い論文を掲載しているものもあるため、注意が必要です。オープンアクセス化する際には、信頼できる機関リポジトリや学術雑誌を選ぶようにしましょう。
学術雑誌への投稿
博士論文の内容を学術雑誌に投稿することもできます。博士論文は、通常、学術雑誌に投稿する論文よりも広範囲にわたるため、その内容を複数の論文に分割して投稿する必要がある場合があります。学術雑誌に投稿することで、より多くの研究者に研究成果をアピールできます。
学術雑誌への投稿を検討する際には、以下の点に注意しましょう。
- 投稿規定:学術雑誌によって投稿規定が異なるため、事前に確認しておく必要があります。投稿規定には、論文の長さ、フォーマット、参考文献の書き方などが細かく規定されています。
- 査読:学術雑誌に投稿した論文は、専門家による査読を受けます。査読の結果によっては、論文の修正が必要になる場合があります。査読は、論文の質を向上させるための重要なプロセスです。査読者のコメントを真摯に受け止め、論文を改善しましょう。
- 掲載料:学術雑誌によっては、掲載料が必要な場合があります。掲載料は、学術雑誌によって異なります。高額な掲載料が必要な場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
学術雑誌への投稿は、研究成果を広く発信する上で非常に有効な手段です。しかし、査読や掲載料など、いくつかのハードルがあることも事実です。投稿前に、これらのハードルを乗り越えるための準備をしておきましょう。
出版のメリットとデメリット
博士論文を出版する場合、以下のメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット |
研究成果をより多くの人に知ってもらうことができる | 出版費用がかかる |
研究の価値を高め、研究者としての評価向上に繋がる | 出版までに時間がかかる |
書籍として出版することで、研究成果を保存できる | 絶版になる可能性がある |
研究成果を社会に還元できる | 出版のハードルが高い |
博士号取得の記念となる | 書籍としての流通量が限られる場合がある |
商業出版の場合、印税収入が得られる可能性がある(ただし、学術書では一般的ではない) | 研究内容が古くなる可能性がある(特に技術系の分野) |
博士論文の出版は、研究者としてのキャリアにおいて重要なステップとなり得ます。しかし、出版には費用や時間がかかるだけでなく、必ずしも商業的な成功を収めるとは限りません。
出版を検討する際には、メリットとデメリットを総合的に判断し、自分にとって最善の選択をすることが重要です。また、出版形態としては、商業出版の他に、大学の出版局や学術出版社からの出版、自費出版など、様々な選択肢があります。それぞれの出版形態の特徴を理解し、自分の目的に合った出版形態を選ぶようにしましょう。
博士論文執筆に役立つツール
博士論文の執筆には、様々なツールが役立ちます。
英文校正ツール
英文校正ツールは、文法、スペル、句読点、スタイルなどの誤りを自動で検出し、修正候補を提示してくれるツールです。これらのツールを活用することで、英語論文の質を高め、より洗練された表現にすることができます。
- Grammarly(グラマリー):世界で最も人気のある英文校正ツールの一つで、幅広い用途に対応します。文法やスペルミスを高精度で検出するだけでなく、文体や表現の改善提案も行ってくれます。無料版でも基本的な機能は利用できますが、有料版ではより高度な提案や剽窃チェック機能が利用できます。日常的な英文作成から学術論文まで、幅広く活用できます。
- Trinka AI(トリンカAI):学術論文に特化した英文校正ツールです。学術的な用語や表現、文法に精通しており、論文の質を高めるための詳細な提案をしてくれます。分野別のスタイルガイド(AMA、APAなど)に対応しており、投稿先のジャーナルに合わせた校正が可能です。
- ProWritingAid(プロライティングエイド):文法、スペル、スタイル、剽窃チェックなど、多機能な英文校正ツールです。文章の改善点を詳細に分析し、レポート形式で表示してくれます。小説などの執筆にも利用されており、文章の推敲に役立ちます。
- Ginger(ジンジャー):文法、スペル、句読点、語彙などをチェックしてくれる英文校正ツールです。文章の書き換え提案機能が特徴的で、より自然で洗練された表現にするためのサポートをしてくれます。比較的安価で利用できるため、手軽に英文校正を始めたい方におすすめです。
これらのツールは、基本的な文法チェックだけでなく、より自然で洗練された表現を提案してくれる機能も備えています。また、剽窃チェック機能を持つツールもあり、意図しない剽窃を防ぐのに役立ちます。
英文校正ツールは、それぞれ得意分野や機能が異なります。無料トライアルなどを利用して、自分に合ったツールを見つけるのがおすすめです。
ただし、ツールはあくまで補助的なものであり、最終的な判断は自分で行う必要があります。ツールの提案を鵜呑みにせず、自分で確認し、必要に応じて修正しましょう。
専門分野の知識を持つ校正者による校正サービスと併用すると、さらに質の高い論文に仕上げることができます。
文献管理ツール
文献管理ツールは、参考文献リストの作成や管理を支援してくれるツールです。これらのツールを活用することで、煩雑な文献管理作業を効率化し、論文執筆に集中することができます。
- Mendeley(メンデレー):Elsevier(エルゼビア)社が提供する無料の文献管理ツール。特に理系の研究者に人気があります。PDFファイルを直接Mendeleyにドラッグ&ドロップするだけで、自動的に文献情報を抽出してくれる機能が便利です。また、研究者向けのSNS機能も備えており、他の研究者と文献情報を共有したり、ディスカッションしたりすることも可能です。
- Zotero(ゾテロ):オープンソースで開発されている無料の文献管理ツール。Webブラウザの拡張機能として動作し、Webサイトからワンクリックで文献情報を取り込むことができます。人文社会科学系の研究者にも広く利用されており、多様な文献フォーマットに対応しています。強力なグループ機能で、共同研究者との文献共有も容易です
- EndNote(エンドノート):Clarivate Analytics(クラリベイト・アナリティクス)社が提供する有料の文献管理ツール(Basic版は無料)。非常に高機能で、大規模な文献データベースとの連携や、Wordとの連携機能が充実しています。医学・生物学系の研究者に特に支持されています。多数の引用スタイルに対応し、詳細なカスタマイズも可能です。
- RefWorks(レフワークス):ProQuest(プロクエスト)社が提供するクラウドベースの有料文献管理ツール。大学や研究機関での導入が多く、機関契約を通じて利用できる場合があります。Webブラウザ上で動作するため、インストール不要でどこからでもアクセスできます。複数のデータベースから文献情報を直接インポートできる機能が強みです。
これらのツールは、Webブラウザの拡張機能やデスクトップアプリケーションとして提供されており、論文執筆中に収集した文献情報を簡単に保存・整理できます。また、参考文献リストを自動生成する機能も備えており、論文のフォーマットに合わせて参考文献リストを自動的に整形してくれます。さらに、複数のデバイス間で文献情報を同期できるため、場所を選ばずに論文執筆を進めることができます。
どのツールが最適かは、研究分野、所属機関の契約状況、個人の好みによって異なります。無料のツールから試してみて、自分に合ったものを見つけるのがおすすめです。多くのツールには、WordやGoogleドキュメントと連携するプラグインがあります。これらを使うと、論文執筆中に参考文献を簡単に挿入できます。
剽窃チェックツール
剽窃チェックツールは、論文の盗用・剽窃をチェックするためのツールです。これらのツールを使用することで、意図しない剽窃を防ぎ、論文の信頼性を高めることができます。
- iThenticate(アイセンティケイト):Turnitin社が提供する、研究者、出版社、学術機関向けのプロフェッショナルツールです。世界最大の学術フルテキストデータベース(CrossRefなど)と照合し、非常に高い精度で剽窃を検出します。学術論文の投稿前チェックに広く利用されています。
- Plagiarism Checker X(プレジャリズム・チェッカー・エックス):比較的安価で手軽に利用できる剽窃チェックツールです。論文だけでなく、Webサイトやその他のドキュメントとの類似度もチェックできます。個人利用や、草稿段階でのチェックに適しています。
- Unicheck(ユニチェック):教育機関向けに開発された剽窃チェックツールで、LMS(学習管理システム)との連携が容易です。リアルタイムでのチェックが可能で、学生のレポート提出時などに活用されています。
- Grammarly(グラマリー):本来は英文校正ツールですが、剽窃チェック機能も搭載しています。文法やスペルチェックと同時に剽窃チェックも行えるため、英語論文の執筆に便利です。ただし、剽窃チェックの精度は、専用ツールに比べるとやや劣る場合があります。
剽窃チェックツールによって、データベースの規模やアルゴリズムが異なります。複数のツールを併用すると、より網羅的なチェックが可能です。無料の剽窃チェックツールもありますが、精度や機能に制限がある場合があります。
これらのツールは、論文を提出する前に、意図しない剽窃がないかを確認するために役立ちます。ツールによっては、類似箇所を具体的に示してくれるため、修正が必要な箇所を特定しやすくなります。ただし、ツールはあくまで補助的なものであり、最終的な判断は自分で行う必要があります。ツールの結果を鵜呑みにせず、自分で確認し、必要に応じて修正しましょう。
最後に
博士論文の執筆は、長い道のりですが、この記事で紹介した内容を参考に、計画的に進めていけば、必ず完成させることができます。
まずは、研究計画書を作成し、研究の全体像を明確化しましょう。そして、構成を練り、章立てを決め、文献を集め、執筆を進めていきましょう。
序論では、研究の背景や目的を明確に示し、本論では、研究内容を論理的に記述し、結論では、研究成果を要約し、今後の展望を示しましょう。
英文校正ツールや文献管理ツールなどを活用すれば、より効率的に論文を執筆できます。
博士論文は、あなたの研究成果を世界に発信するチャンスです。自信を持って、論文を完成させ、研究者としての第一歩を踏み出しましょう。
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東大応用物理学科卒業後、ソニー情報処理研究所にて、CD、AI、スペクトラム拡散などの研究開発に従事。
MIT電子工学・コンピュータサイエンスPh.D取得。光通信分野。
ノーテルネットワークス VP、VLSI Technology 日本法人社長、シーメンスKK VPなどを歴任。最近はハイテク・スタートアップの経営支援のかたわら、web3xAI分野を自ら研究。
元金沢大学客員教授。著書2冊。